平日の夕方、包丁を握っている時間
仕事から帰って、米を研ぐところから晩ごはんが始まる日があります。主菜を焼きながら、まな板の上では次の野菜を切っている。品数を増やそうとするほど、コンロと包丁の前に立つ時間はそのまま延びていきます。
ある日の食卓を思い浮かべてみます。主菜は豚の生姜焼き、汁物はわかめの味噌汁、副菜は野菜炒めと、あともう一品。四品そろえるために、帰宅してから箸を持つまで小一時間かかることも、珍しくありません。
◆ この記事で扱うこと
- 品数を増やすときに時間がかかる、本当の理由
- 変えたのは3つだけ、という考え方
- 作り置きに向く二品:紅白なます/大根の煮物
- 作り置きにしなくていいところ
品数を増やすと、時間より先に迷いが増える

副菜をもう一品足そうとするとき、実は一番時間を取られているのは、切ったり煮たりする作業そのものより、「今日は何を作ろうか」と考える時間だったりします。冷蔵庫を開けて、残っている野菜を見て、味つけを決める。この「決める」工程は、レシピを見ながらでも数分はかかります。
副菜がゼロから始まる日は、主菜を作り終えたところで、もう一度この決める作業をやり直すことになります。品数を増やすほど、決める回数も増える。時間が押しているときほど、ここが負担になりやすい部分です。
変えたのは、この3つだけ

全部の料理を作り置きにする必要はありません。変えたのは、副菜のうち一部を「決める」工程ごと前倒しにする、という3点です。
★ ①手の空いた日に、副菜を2品だけ仕込む
毎日ではなく、週に1回、30分だけ。副菜を2品まとめて作り、それ以外の日は仕込みをしません。品数を減らすのではなく、作るタイミングを前にずらす発想です。
★ ②清潔な容器に入れて、冷蔵庫の同じ場所に置く
粗熱を取ってから清潔な容器に移し、冷蔵庫の決まった場所に置きます。厚生労働省は食中毒予防の原則として「つけない・増やさない・やっつける」を挙げており(出典:厚生労働省「食中毒」)、清潔な容器と早めの冷蔵はこの原則にそのまま重なります。
★ ③平日は「盛りつけるだけ」にする
作り置きした副菜は、平日は器に盛るだけ。切る・煮る・味を決める工程を平日から外すことで、コンロに立つ時間そのものが短くなります。
紅白なます|甘酢に漬けるだけの一品

作り置きに向くのは、時間が経っても味が落ちにくい料理です。まずは酢を使った副菜から。

紅白なます|細切りのだいこんとにんじんを甘酢に漬けた一品。※画像はイメージです
| だいこん | 60g |
| にんじん | 10g |
| 米酢 | 10g(小さじ2) |
| 上白糖 | 5g(小さじ1.5) |
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だいこんとにんじんは皮をむき、4cm長さの細切りにする。
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熱湯でさっと下茹でし、ざるにあげて粗熱をとる。
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米酢と上白糖をよく混ぜ合わせ、甘酢を作る。
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だいこんとにんじんの水気をしっかりきり、甘酢に漬けて30分ほどなじませる。
◆ 栄養価(1人分の目安)
※1食あたりの目安です
★ 保存の目安
冷蔵で3〜4日を目安に食べきってください。酢を使っているぶん、他の副菜より少し長くもつ傾向があります。取り分けるときは清潔な箸を使うと安心です。
大根の煮物|しょうゆとみりんで煮含める一品

続いて、しょうゆとみりんでしっかり煮含めた副菜です。

大根の煮物|だいこんをしょうゆとみりんで煮含めた一品。※画像はイメージです
| だいこん | 120g |
| こいくちしょうゆ | 12g(小さじ2) |
| 本みりん | 9g(小さじ1.5) |
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だいこんは2cm厚さの半月切りにし、面取りをする。
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たっぷりの水でやわらかくなるまで下茹でする。
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鍋にだいこん・しょうゆ・みりん・ひたひたの水を入れ、落としぶたをして弱火で15分ほど煮る。
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火を止め、そのまま冷ますとさらに味がしみ込む。
◆ 栄養価(1人分の目安)
※1食あたりの目安です
★ 保存の目安
冷蔵で2〜3日を目安に食べきってください。煮汁ごと保存容器に入れておくと、乾燥を防げて味も安定します。
変えた後の、六品ある食卓

冷蔵庫に紅白なますと大根の煮物が入っていると、平日の副菜はここから盛るだけになります。主菜と汁物だけをその日に作れば、品数は変わらないまま、コンロに立つ時間は主菜1品分に近づきます。
四品そろえるのに小一時間かかっていた日が、副菜を盛りつける数分と、主菜を作る時間だけで済むようになる。作る品数を減らしたわけではなく、「決める」工程をあらかじめ終わらせておいただけです。
全部を作り置きにしなくていい

作り置きに向かないものもあります。ご飯は炊きたてのほうがおいしく、汁物は温め直すと風味が落ちやすいことがあります。主菜も、焼きたての香ばしさは作り置きでは再現しにくい部分です。
副菜のうち日持ちする1〜2品だけを前倒しにして、主食・汁物・主菜はそのつど作る。全部を作り置きに置き換える必要はありません。仕込む品と、その日作る品を分けておくだけで、平日の負担は変わります。
おわりに
週に一度、30分だけ副菜を仕込んでおく。それだけで、平日の「今日は何を作ろう」と考える回数が減ります。
無理に品数を増やさなくても、常備菜が1品冷蔵庫にあるだけで、食卓の見え方は変わります。まずは週末に、紅白なますか大根の煮物、どちらか一品から試してみてください。ゆっくり自分のペースで、続けやすい形を見つけていけたらと思います。
免責事項・参考基準
本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供であり、特定の個人への栄養指導の代わりではありません。持病があり食事の制限がある方は、食塩・カリウムなどの量について主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。
参考にした基準・出典の系統
| 出典系統 | 内容 | 記事内の使用箇所 |
|---|---|---|
| 日本食品標準成分表2020年版(八訂)(文部科学省) | 食材ごとの栄養価の基礎データ | 栄養価グリッドの基礎 |
| 厚生労働省「食中毒」 | 食中毒予防の原則(つけない・増やさない・やっつける) | 「変えたのは、この3つだけ」節 |
※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

