腎臓病と塩分|むくみ・血圧に配慮した減塩のすすめ

腎臓病サポート

腎臓の検査値で引っかかった日から、塩分との付き合い方が一気に気になり始める方は多いと思います。

「減塩しましょう」と言われても、実際にどの食品を減らせばよいのか、いきなりは分かりにくい。味噌汁を減らす?漬物を控える?でも、それで本当に十分なのか不安、というのが正直なところではないでしょうか。

この記事では、なぜ腎臓病で塩分制限が必要なのか、CKD(慢性腎臓病)ガイドラインで示される目標量、毎日の食事で続けられる減塩のコツを、優しい言葉でまとめます。

この記事でわかること

  • 腎臓病で塩分を控える理由(むくみ・血圧との関係)
  • CKDガイドラインで示される塩分目標と1日の量
  • 無理なく続く減塩テクニック5つ
  • 塩分以外に意識すべき栄養素との優先順位

なぜ腎臓病で塩分を控えるのか

腎臓と塩分の関係

腎臓は、体に入った塩分(ナトリウム)を尿として外に出す働きを担っています。腎臓の機能が落ちると、この排出がうまくいかなくなり、体に塩分と水分が溜まりやすくなる。これがむくみと血圧上昇の原因です。

塩分が体に溜まると、体液量が増えて血管にかかる圧力が上がります。血圧が高い状態が続くと、その圧力が腎臓の細い血管にも負担をかけます。腎臓の働きがさらに落ちれば塩分はいっそう出ていきにくくなり、また血圧が上がる。この繰り返しに入ってしまうのを避けたいのです。

つまり、塩分制限はむくみ対策であると同時に、腎臓を守るための血圧対策でもあります。「血圧の薬を飲んでいるから大丈夫」ではなく、食事側からの減塩と両輪で進めるのが基本です。


CKDガイドラインの塩分目標は1日6g未満

日本腎臓学会のCKD診療ガイドライン2023では、CKDの方に対して1日3g以上6g未満の食塩摂取が推奨されています。

健常者の目標(男性7.5g未満・女性6.5g未満)よりも厳しい数値。3食に均等配分すると1食あたり2gを目安にすることになります。

食塩6g・2g/食 を超えやすい食品

食品 1回分の食塩
カップ麺1個 約5〜7g
ラーメン1杯(汁を飲み干し) 約5〜6g
梅干し1個(中) 約2g
明太子1/2腹 約1.7g
味噌汁1杯(通常) 約1.5g
食パン6枚切り1枚 約0.7g
ハム1枚 約0.4g

カップ麺1個で1日分を超えることもある計算です。「何を抜くか」よりも「何が塩分の集中点か」を知ることが減塩の第一歩です。


続けやすい減塩テクニック5つ

毎日の食事で実践しやすい減塩のコツを、優先順位の高い順にまとめます。

今日からできる減塩テク

  1. 麺類のスープを残す: ラーメン・うどんの汁を飲まないだけで2〜3g減る
  2. 味噌汁のだしを濃く取る: かつお・昆布のうま味で味噌を半量にできる
  3. 漬物・佃煮を毎日からたまにへ: 主役にせず脇役に
  4. 調味料はかける式から付ける式へ: 醤油は小皿に少量、刺身は付ける
  5. 酸味と香りで輪郭をつける: 酢・レモン・しょうが・ねぎ・こしょうを多めに

これらは特別な減塩食品を買わなくても、家の調理で完結します。1つずつ習慣化するだけで、1日1〜2gの減塩はすぐに達成可能です。


茹で野菜マリネで「減塩×カリウム対応」を両立する

腎臓病では塩分制限と並行して、ステージによってはカリウム制限の指示が出ることがあります。茹でこぼした野菜のマリネは、その両方に対応できる便利な常備菜です。

キャベツとにんじんの茹で野菜マリネ

キャベツとにんじんの茹で野菜マリネ|茹でこぼしでカリウムを減らし、酢と少量の油で塩分を抑えながら満足感を出した一品 ※画像はイメージです

野菜は茹でこぼしでカリウムを20〜50%程度減らせるとされ、ステージG3b〜G4でカリウム制限が始まった方には基本テクニックになります。塩を多用せず、酢・オリーブ油・こしょうで味付けすると、減塩と低カリウムを両立できる。

カリウム調整の詳しい話は腎臓病とカリウム|野菜の茹でこぼしと選び方も参考にしてください。


外食・加工食品との付き合い方

家での食事を整えても、外食や加工食品で塩分を一気に取り戻してしまうことがあります。

外食・加工食品の選び方

場面 選び方
定食 味噌汁・漬物は残す。醤油は付ける式
麺類 汁を飲まない。具入りを選ぶ
コンビニ弁当 食塩相当量2g以下を選ぶ。栄養成分表示を確認
加工肉(ハム・ベーコン) 頻度を週1〜2回に
缶詰 水煮・無塩タイプを優先

栄養成分表示の食塩相当量を読む習慣をつけると、選び方が自然と変わってきます。「塩分を意識した買い物カゴ」になるまで2〜3週間で慣れる方が多い印象です。


塩分以外の優先度との折り合い

腎臓病の食事療法は塩分だけではありません。たんぱく質・カリウム・リン・エネルギーなど複数の項目を同時に整える必要があります。

優先順位の整理

  • 全ステージ共通で意識: 塩分(6g未満)・エネルギー確保
  • ステージが進むと追加: たんぱく質量の調整(医師指示に従う)
  • 血液検査で示唆があれば: カリウム・リンの制限

塩分制限はどのステージでも基本ですが、たんぱく質量・カリウム量・リン量は主治医・担当の管理栄養士の指示が最優先です。自己判断で複数項目を同時に厳しくしすぎると、エネルギー不足や栄養失調を招く危険があります。


おわりに

腎臓病の減塩は、塩を抜くことではなく「塩以外で味を立てる」考え方に切り替えると続きます。だし・酸味・香り・少量の油で十分満足できる料理が作れます。

今日の食事から、麺類の汁を半分残してみる。これだけで1日2g以上の減塩が可能です。小さな成功体験を積みながら習慣化していきましょう。

カリウム調整は腎臓病とカリウム|野菜の茹でこぼしと選び方、たんぱく質量の話は腎臓病とたんぱく質|摂りすぎないコツと適量で続きが読めます。


免責事項・参考基準

本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。腎臓病の食事療法は、そのステージ・合併症・服薬内容・血液検査の数値によって個別に決まります。塩分・たんぱく質・カリウム・リンの具体的な摂取量は、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。

参考にした基準・出典の系統

出典系統 内容 記事内の使用箇所
日本腎臓学会「CKD診療ガイドライン2023」 CKDの食塩摂取目標(3g以上6g未満) 「目標は1日6g未満」節
日本人の食事摂取基準(2025年版)(厚生労働省) 健常者の食塩目標量との比較 同節
日本食品標準成分表2020年版(八訂)(文部科学省) 食品ごとの食塩相当量 食塩集中点の表

※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。


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