本記事は一般的な情報提供であり、個別の治療方針は主治医・担当管理栄養士の指示を優先してください。
「糖質オフ」の棚の前で、たいてい足が止まります
スーパーに入って数分。パンの棚に「糖質50%オフ」、飲みものの棚に「糖類ゼロ」、お菓子の棚に「低糖質」。似た言葉が並んでいて、どれが自分に向いているのか決めきれないまま、結局いつもの商品をかごに入れた。そんな経験はないでしょうか。
パッケージの表面の言葉は、選ぶ材料としては足りません。判断に必要なことは、たいてい裏面の栄養成分表示に書いてあります。とはいえ全部を読む必要はなくて、見る場所は3か所で足ります。
今回は売り場を回る順に、棚ごとの見方をまとめます。買い物のたびに全部やらなくて大丈夫です。今日はパンの棚だけ、次は飲みものの棚だけ、というくらいで十分続きます。

蒸し鶏(ねぎソース)。表示のない売り場でも選びやすい、素材そのままの一品です(※画像はイメージです)
裏返して見るのは3か所だけ

包装された加工食品には、栄養成分表示が原則として義務づけられています。書かれる順番も決まっていて、熱量(エネルギー)・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量の5項目が基本です。血糖が気になるときに見たいのは、このうち炭水化物の欄になります。
◆ 裏面で見る3か所
| ① 表示の単位 | 「100g当たり」か「1個当たり」か「1袋当たり」か。ここを読み飛ばすと量の感覚がずれます |
| ② 炭水化物 | 血糖に関わるのはここ。糖質と食物繊維を合わせた量です |
| ③ 糖質・糖類の内訳 | 書いてあれば見る。任意の表示なので、無い商品も普通にあります |
糖質と糖類は、任意で表示する項目です。義務ではないので、載っていない商品を「隠している」と考えなくて大丈夫です。内訳が無いときは、炭水化物の量をそのまま目安にすれば足ります。食物繊維が多い食品では炭水化物より糖質のほうが少なくなりますが、大きくずれるのは、おからやふすまを使ったパンなど限られた商品です。
パン・麺の棚|「1枚当たり」か「1袋当たり」か

主食売り場でいちばん間違えやすいのが、①の単位です。
食パンは「1枚当たり」で書かれることが多く、めん類は「1食(○g)当たり」や「100g当たり」が混ざります。100g当たりで書かれためんを1食150g食べるなら、表示の1.5倍が実際に食べる量です。数字を比べる前に、単位をそろえる。ここだけで、思っていたのと違った、が減ります。
糖質オフのパンは、食物繊維を足して糖質を抑えている商品が多く、その分エネルギーは普通のパンとあまり変わらないこともあります。体重も気にしている方は、炭水化物と一緒に熱量の欄も見ておくと選びやすいです。
飲みものの棚|「無糖」「微糖」は数字が決まっています

飲みものの言葉には、法律で決まった基準値があるものがあります。糖類についての表示がそれにあたります。
◆ 糖類についての表示の基準(食品表示基準)
| 糖類ゼロ・無糖・ノンシュガー | 糖類が食品100g(飲料100ml)当たり0.5g未満 |
| 低糖・微糖・糖類オフ | 糖類が食品100g当たり5g以下、飲料100ml当たり2.5g以下 |
| 糖類○%オフ(他商品との比較) | 比べた商品より25%以上減っていることなどが条件 |
つまり「無糖」と書いてあるお茶やコーヒーは、糖類がほぼ入っていないと考えて差し支えありません。一方で「微糖」の缶コーヒーは、100ml当たり2.5g以下という基準です。185mlの缶なら4g台まではあり得ます。ゼロではない、という認識で持てば十分です。
ここで大事なのが、基準があるのは「糖類」であって「糖質」ではないということ。次の棚でその話をします。
お菓子の棚|「糖類ゼロ」と「糖質オフ」は別の言葉です

糖類は、砂糖やぶどう糖のような単糖類・二糖類のことです。糖質はもっと広く、でんぷんや糖アルコールなども含みます。
なので「糖類ゼロ」のお菓子でも、でんぷんや麦芽糖の一種などが入っていれば、糖質としてはそれなりの量があり得ます。糖類ゼロ=血糖に関係しない、ではありません。
そして「糖質オフ」のほうには、法律で決まった数値の基準がありません。何と比べて、どれだけ減らしたのかは、事業者の考え方によります。「当社従来品比」と小さく書かれていることが多いので、そこを一度見てみてください。同じ「オフ」でも、比べる相手が違えば意味が変わります。
★ お菓子の棚での見方
表面の「糖質オフ」より、裏面の炭水化物のグラム数を見る。数字は嘘をつきません。
糖アルコール(マルチトール・エリスリトールなど)が多い商品は、人によってお腹がゆるくなることがあります。最初は少量で試す。
糖質が抑えられていても、脂質が多くて熱量は普通のお菓子と変わらない商品もあります。熱量の欄も一緒に。
惣菜の棚|表示がない売り場での選び方

店内で作ってその場で売る惣菜や、量り売りのもの、日替わりで中身が変わる弁当などは、栄養成分表示が免除されます。表示が見当たらなくても、お店が不親切なわけではないんですね。こうした売り場は、もともと表示を省いてよいことになっています。
表示に頼れない売り場では、見るものを変えます。素材と調理法です。
- 揚げてある、あんがとろりとしている、照りが強い。このあたりは衣・でんぷん・砂糖が入っている合図です
- 焼く・蒸す・ゆでるでできているものは、素材の量がそのまま出やすい
- 主食が二重になっていないか(いなり寿司とうどん、パスタとパン、のような組み合わせ)
この考え方でいちばん選びやすいのが、味つけの少ない蒸し鶏や焼き魚のパックです。家で作るなら、鶏むね肉を蒸してねぎだれをかけるだけでできます。
◆ 栄養価(1人分の目安)
鶏むね肉100gに、白い部分を刻んだ長ねぎ、ごま油、しょうゆを少し。炭水化物は1食で2g台なので、糖質オフをうたった商品を探さなくても、こういう一皿がひとつあれば献立は落ち着きます。表示を読む力は、表示の無い売り場でも効いてきます。
かごを出る前に、ひとつだけ見直す

レジに並ぶ前に、かごの中を1回だけ見てください。確認するのは、主食になるものが重なっていないかの1点です。
パン、めん、ごはん、いも、それに甘い飲みもの。糖質オフの商品をいくら選んでも、これらが積み重なれば1日の量は増えます。逆に言えば、重なりさえ整理できていれば、普通のパンを買っても構わないわけです。
糖質オフ食品は、我慢を減らすための道具です。全部を置き換える必要はありませんし、置き換えたから安心というものでもありません。今日はどれか1つ、いつもの棚で裏を見てみる。そのくらいから始めていただければと思います。
おわりに
表示の読み方は、覚えるというより慣れです。最初は単位の欄だけでも構いません。「100g当たりって書いてあるな」と気づけた時点で、選び方はもう変わっています。
買い物は毎週やってくるので、練習の機会はいくらでもあります。完璧に読めるようになる必要はありませんから、行くたびにひとつずつ。次の受診までに気づいたことがあれば、担当の管理栄養士にも話してみてください。一人で読み解かなくて大丈夫です。
免責事項・参考基準
本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。糖尿病の食事療法で必要な糖質量やエネルギー量は、体格・活動量・合併症・服薬内容によって一人ひとり異なります。糖質オフ食品の利用や食事量の調整は、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。
参考にした基準・出典の系統
| 出典系統 | 内容 | 記事内の使用箇所 |
|---|---|---|
| 消費者庁「栄養成分表示について」 | 栄養成分表示の義務表示と任意表示の枠組み | 裏返して見るのは3か所だけ |
| 東京都保健医療局「栄養成分表示の概要」 | 義務表示5項目(熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量)とその順序、糖質・糖類が任意表示であること、表示義務が免除される食品 | 裏返して見るのは3か所だけ/惣菜の棚 |
| 東京都保健医療局「栄養成分表示(栄養強調表示)」 | 強調表示の枠組みと、低減された旨の表示に必要な相対差25%以上 | 飲みものの棚 |
※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

