「食物繊維をしっかり摂りましょう」と聞いても、自分が今どれくらい摂れているかを把握している方は多くないと思います。
実は、現代の日本人の食物繊維摂取量は推奨量に届いていない人がほとんど。野菜は食べているつもりでも、計算してみると意外に足りていないことが多い栄養素です。
この記事では、食物繊維を1日20g前後まで底上げするための、現実的で続けやすい食べ方を、食材ごとの繊維量を交えてまとめます。
◆ この記事でわかること
- 1日に必要な食物繊維量と、現代日本人の摂取実態
- 水溶性・不溶性の違いと、それぞれの役割
- 1日20gを満たす具体的な食材の組み合わせ
- 主食・副菜・間食で繊維を足すちょっとした工夫
1日に必要な食物繊維はどれくらいか

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、成人の食物繊維の目標量を男性21g以上・女性18g以上としています。実際の平均摂取量は男女ともこれを下回る傾向が続いており、不足が課題になっています。
食物繊維は「腸の掃除をしてくれる繊維」のイメージが先行しますが、それ以外にも血糖値の上昇を緩やかにする、コレステロールの吸収を抑えるなど、生活習慣病予防に幅広く関わる栄養素です。
「とりあえず20gを目安にする」という覚えやすい数字で考えると、毎日の献立に組み込みやすくなります。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違い
食物繊維は大きく2つに分かれます。それぞれ働き方が違い、両方をバランスよく摂ることが理想です。
◆ 2種類の食物繊維
| 種類 | 主な食品 | 体での働き |
| 水溶性食物繊維 | 海藻・果物・大麦・オクラ・なめこ | 食後血糖の上昇を抑える、コレステロール低下に関与 |
| 不溶性食物繊維 | 野菜・きのこ・豆類・全粒穀物 | 便のかさを増やして腸の動きを促す |
水溶性と不溶性はおおむね1:2の割合で摂るのが望ましいとされています。日本の一般的な食事では水溶性が不足しがちなので、海藻・大麦・オクラなどを意識して入れると整いやすくなります。
食材100gあたりの食物繊維量を覚える
食材ごとの繊維量を大まかに覚えておくと、献立に組み込みやすくなります。
◆ よく使う食材100gあたりの食物繊維量(目安)
| 食材 | 食物繊維量 | 1回量の目安 |
| 切り干し大根(乾燥) | 約21g | 戻して30g(乾燥10g)で約2g |
| ひじき(乾燥) | 約43g | 戻して30g(乾燥5g)で約2g |
| 大豆(茹で) | 約7g | 50gで約3.5g |
| 納豆 | 約7g | 1パック40〜50gで約3g |
| ごぼう(茹で) | 約6g | 50gで約3g |
| オクラ(茹で) | 約5g | 50gで約2.5g |
| かぼちゃ(茹で) | 約4g | 80gで約3g |
| ブロッコリー(茹で) | 約4g | 70gで約3g |
| 玄米ご飯 | 約1.4g | 茶碗1杯150gで約2g |
| もち麦ご飯(白米と1:1) | 約3g | 茶碗1杯150gで約4.5g |
これを見ると、主食を玄米やもち麦に変えるだけで1日5〜6g、副菜に乾物(切り干し・ひじき)を入れるだけで2〜3gの上乗せが可能になります。
1日20gを満たす献立例
「20gって具体的にどんな1日?」のイメージを具体例で示します。
◆ 食物繊維20g達成の1日例
| 食事 | 内容 | 食物繊維 |
| 朝食 | もち麦ご飯(150g)/納豆1パック/ほうれん草のみそ汁/オクラの和え物 | 約8g |
| 昼食 | 玄米おにぎり1個/鯖の塩焼き/切り干し大根の煮物/きのこの炒め物 | 約6g |
| 夕食 | 白米茶碗1杯/鶏むね肉のソテー/ブロッコリーとかぼちゃの温サラダ/ひじきの煮物 | 約7g |
| 合計 | — | 約21g |
特別な食材はほぼ登場しません。主食をもち麦・玄米に変える+副菜2品を欠かさないだけで20g前後に届きます。
主食で底上げするのが最短コース
食物繊維を増やすうえで、いちばん効率がよいのは主食の質を変えること。毎日3食食べるご飯を変えれば、それだけで自動的に1日5〜6gの底上げが期待できます。
★ 主食を変えるアイデア
- もち麦ブレンド: 白米2合に対してもち麦50g程度を加えて炊く
- 雑穀ミックス: 市販の雑穀ミックスを1合あたり大さじ1〜2
- 玄米: 圧力鍋や炊飯器の玄米モードで気軽に
- 全粒粉パン・ライ麦パン: パン派の方は全粒粉率の高いものに
家族の好みに合わない場合は、半分から始めるのがコツ。白米:もち麦 = 2:1 で炊くと、見た目はほぼ白米のままで違和感が少ないです。
副菜と間食で繊維を足す小ワザ
主食だけで足りない分は、副菜と間食で埋めます。
★ 食物繊維を足す小ワザ
- みそ汁の具に海藻・きのこを必ず: わかめ・なめこ・しめじで1杯あたり2〜3g
- サラダにひじき・蒸し大豆をトッピング: いつものサラダに+2g
- 間食にナッツ・ドライフルーツ: アーモンド10粒で約1g、ドライプルーン3個で約1.5g
- ヨーグルトにオートミールを少量: 大さじ1で約1g
1食ずつ1〜2gを足していけば、自然に20gに近づきます。

ごぼうとこんにゃくのきんぴら|ごぼう50gとこんにゃく30gで食物繊維約4gを1鉢で確保できる常備菜の代表格 ※画像はイメージです
急に増やすとお腹が張ることがある
食物繊維を急増させると、人によってはガス・腹部膨満・便秘の悪化が起きることがあります。普段不足している人ほど段階的に増やすのがコツです。
水分摂取も同時に増やしてください。不溶性食物繊維は水を含んで膨らむので、水分が少ないと便が硬くなりやすい。1日1.2〜1.5L程度の水分(食事以外)を目安に。
腎臓病でカリウム・リンの制限がある方、過敏性腸症候群で特定の繊維(FODMAP)を避けている方は、自己判断で増やさず主治医・管理栄養士に相談してください。
おわりに
食物繊維は1日でいきなり倍にしようとせず、主食の質を変える+副菜2品を欠かさないを1週間続けてみてください。それだけで多くの方が15〜20gに届きます。
明日の炊飯時にもち麦をひと握り加える、これが食物繊維の最初の一歩としていちばんやさしい行動です。
主食・副菜の整え方の基礎はバランスのよい食事とは|主食・主菜・副菜の整え方、糖尿病で血糖値を意識する方は糖尿病の食事で食物繊維を増やすコツ|1日20gの摂り方も合わせて読むとつながります。
免責事項・参考基準
本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の病態や個人への栄養指導の代わりではありません。腎臓病・過敏性腸症候群など、食物繊維の調整が必要な疾患をお持ちの方は、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。
参考にした基準・出典の系統
| 出典系統 | 内容 | 記事内の使用箇所 |
|---|---|---|
| 日本人の食事摂取基準(2025年版)(厚生労働省) | 食物繊維目標量(男性21g・女性18g以上) | 「1日に必要な量」節 |
| 日本食品標準成分表2020年版(八訂)(文部科学省) | 食材100gあたりの食物繊維量 | 食材別の繊維量表・献立例 |
※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

