毎食たんぱく質をはかるのがつらいとき|目安に置き換える手順

腎臓病サポート

外来でよく聞かれる質問から書いてみます。「はかるのをやめたら、続けられなくなりそうで怖いんです」というものです。

食事のたびにキッチンスケールを出し、肉や魚をのせて、数字を見てから盛りつける。最初の数か月はこの作業自体が制限を守っている実感につながります。でも半年、1年と続くと、洗い物が増える手間や、外食のたびに持ち歩けない不便さのほうが重くなってくることがあります。

結論から言うと、毎食はかり続けなくても、目安に置き換えれば同じ量を保てます。やめていいかどうかより、はかり方を変えていいかどうかで考えると、答えが見えてきます。

毎食スケールに乗せるのが、しんどくなってきたら

感覚ができてから手放す

はかる作業自体をやめても大丈夫です。ただし条件が一つだけあります。自分の中に「この量がだいたい何gか」という感覚ができてから、という条件です。

腎臓病(CKD)のたんぱく質の目安は、ステージによって標準体重1kgあたり0.6〜1.0gと幅があります。数字の考え方や、体重からの計算方法は別の記事(腎臓病とたんぱく質|摂りすぎないコツと適量)にまとめているので、ここでは「1日の目標量がすでに分かっている人」を前提に、はかる作業をどう手放すかを書きます。

感覚ができる目安は、だいたい1〜2か月です。その間は今までどおりはかりながら、「これくらいの厚みで80gだったな」と、目でも覚えていくつもりで並行させてください。

量りをやめるなら、何を物差しにするか

手のひら・パック・器

物差しは三つです。手のひらのサイズ、パックの単位、いつも使う器のサイズ。この三つを組み合わせると、はかりなしでもだいたいの量がそろいます。

手のひらのサイズ。肉や魚の一切れを、自分の手のひら(指を除いた部分)にのせて厚みが1cmほどなら、およそ80〜100gです。豆腐は1/3丁、卵は1個で覚えておくと、計算がいりません。

パックの単位。スーパーの精肉・鮮魚売り場では、1パックがそのまま1食分に近い重さで売られていることが多いです。買う段階で「このパック1つを2回に分ける」「このパックをそのまま1回で使う」と決めてしまえば、家での計量が要らなくなります。

いつも使う器のサイズ。主菜を盛る器を1枚決めて、そこにいつも同じ高さ・同じ広さで盛る習慣をつけます。器が物差し代わりになるので、量が自然とそろいます。

★ 感覚がずれやすい食品

ひき肉やそぼろは厚みが出にくく、目分量が狂いやすい食品です。ハンバーグや肉団子のように成形する料理は、最初の1回だけ計量して「握った大きさ」を覚えておくと、以降は安心して目安に切り替えられます。

主食や野菜のたんぱく質は、どう数えるか

いつもの量を守るだけ

主菜ばかりに気を取られがちですが、ご飯にもパンにも野菜にもたんぱく質は含まれています。ご飯1膳(150g)でおよそ3.8g、食パン1枚でおよそ5.6gです。

とはいえ、ここは毎回はかる必要はありません。主食・野菜は「いつもの量を守る」ことだけ意識すれば十分です。主食のお代わりをしない、野菜の小鉢を1品増やしすぎない。この二つを守っていれば、主食・副菜側のたんぱく質は大きくぶれません。数字で管理する労力は、主菜1品に集中させるのが現実的です。

外食・惣菜の日はどうするか

単品メニューと表示確認

外では、はかることも、パックで買うこともできません。この日は「何を選ぶか」で調整します。

定食よりも、主菜が1品だけの単品メニューを選ぶほうが、量の見当がつけやすくなります。から揚げ定食のように複数の揚げ物が重なる献立は、たんぱく質も塩分も読みにくいので避けたい組み合わせです。

惣菜を買う日は、パッケージの栄養成分表示を確認する習慣が助けになります。表示を見る癖がつけば、外食や惣菜の日でも「今日は主菜を1品にしぼる」といった調整がしやすくなります。加工食品・惣菜のリンの多さについては、別の記事(腎臓病とリン|加工食品・乳製品との付き合い方)で詳しく触れています。

目安に切り替えたあと、ズレていないかをどう確かめるか

月1回だけ計量に戻る

目安に頼るようになっても、確認する機会は残しておいたほうが安心です。方法は三つあります。

一つ目は、月に一度だけキッチンスケールに戻ること。毎食である必要はなく、月1回で感覚のずれを修正できます。二つ目は、体重の記録です。急な増減は、量の管理がずれているサインになることがあります。三つ目は、受診時の検査値です。クレアチニンや尿素窒素の推移は、はかり方を変えたことが体に合っているかどうかを、いちばん客観的に教えてくれます。

この三つのどれかで違和感があれば、次の栄養相談のときに「目安に切り替えてから、こう変わった」と伝えてみてください。

◆ 主菜の実例:厚揚げの煮物

厚みのある1枚を、崩さずそのまま煮るだけの料理です。切り分けなくても「1枚」という単位で量が分かるので、目安に切り替えたばかりの人に向いています。

136.7kcal
エネルギー
9.5g
たんぱく質
1.4g
食塩相当量
143.8mg
リン

厚揚げの煮物

厚揚げの煮物|1枚をそのまま煮て、切り分けずに盛る主菜(1人分の目安)※画像はイメージです

厚揚げは生揚げ1枚(約80g)をだしとしょうゆ、みりんで煮るだけなので、切り分ける手間もなく、パックの単位そのものが1食分の目安になります。数値は献立の中の一例であり、実際に食べてよい量・頻度は主治医・担当管理栄養士の指示を確認してください。

おわりに

はかることをやめるのではなく、はかり方を切り替えるだけだと考えると、少し気が楽になります。毎食のスケールを、手のひら・パック・いつもの器に置き換えて、月に一度だけ答え合わせをする。それだけで、続けやすさはかなり変わってきます。

うまく目安がつかめない食品が出てきたら、無理に自己流で進めず、次の受診のときに担当の管理栄養士に相談してみてください。


免責事項・参考基準

本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。たんぱく質の目標量・はかり方の切り替え時期は、病期・検査値・体格によって一人ひとり異なります。計量方法の変更や食事内容の調整は、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。

参考にした基準・出典の系統

出典系統 内容 記事内の使用箇所
日本腎臓学会「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン」(2023年版)/実務版『CKD診療ガイド2024』 CKDステージ別のたんぱく質摂取量の目安(G3aで標準体重1kgあたり0.8〜1.0g/日、G3b以降0.6〜0.8g/日) 「毎食スケールに乗せるのが、しんどくなってきたら」節
日本腎臓学会 腎臓病の食事療法は病期・検査値によって個別に決まるという一般原則 免責事項全体

※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

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