会食が続く時期の食べ方|前後の食事で帳尻を合わせる

脂質異常・コレステロール

「今月、会食が4回あります」というご相談から

歓送迎会、忘年会、久しぶりの同窓会。会食は月に何度も続くことがあるのに、たいていの食事の本は「1日単位」で書かれています。そこにズレがあるので、続く時期にどうすればいいのか分からなくなります。

健診で脂質を指摘された方から実際によくいただく質問を、5つ並べてみます。順番に見ていくと、やることは思っているより少ないはずです。

Q1|会食の日は、朝と昼を抜いて調整してもいいですか

抜くのではなく軽くする

抜くのではなく、軽くする。これがおすすめです。

朝と昼を抜くと、夜の席で空腹が強くなり、揚げ物や締めの一皿に手が伸びやすくなります。せっかく我慢した分が、夜に戻ってきてしまう形です。

★ 会食日の昼にすすめている形

おにぎり1個とみそ汁、そばやうどんなど、脂質の少ない主食中心の軽い食事にしておきます。夕方に空腹が強くなりそうなときは、無糖のヨーグルトやプレーンなナッツを少量つまんでおくと、席についてからの勢いが落ち着きます。抜くのではなく「油を使った料理を昼に持ってこない」と考えるほうが実行しやすいです。

Q2|お店でメニューを選ぶとき、どこを見ればいいですか

見る場所は調理法ひとつ

コース料理なら選べませんが、単品を頼める店なら見る場所は「調理法」ひとつです。

同じ食材でも、揚げる・炒めるは油が加わり、蒸す・焼く・煮る・生はほとんど加わりません。メニュー名の語尾を見るだけで、だいたいの見当がつきます。

◆ 居酒屋の定番を調理法で並べると

調理法 メニューの例 油の加わり方
生・和える 刺身、冷ややっこ、酢の物、枝豆 ほとんど加わらない
蒸す・煮る あさりの酒蒸し、煮魚、おでん ほとんど加わらない
焼く 焼き鳥(塩)、焼き魚、焼き野菜 少し加わる
炒める 野菜炒め、チャーハン、焼きそば はっきり加わる
揚げる から揚げ、天ぷら、フライドポテト 最も多く加わる

全部を上の段から選ぶ必要はありません。最初の1〜2品を上の段から頼んでおくと、それだけで席全体の内容が変わります。から揚げが出てきたときに、すでに刺身と枝豆でおなかが落ち着いていれば、取る量は自然に減ります。

マヨネーズやドレッシングのかかったサラダは、野菜料理のつもりで頼むと当てが外れることがあります。この点は後半でもう一度ふれます。

Q3|お酒はどのくらいまでなら大丈夫ですか

アルコールは1日25g以下

日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、動脈硬化性疾患の予防のための食事療法として、アルコールは1日25g以下にすることが示されています。

25gという数字は、お酒の種類ごとに量が変わります。ビールなら中瓶1本程度、日本酒なら1合程度、ワインならグラス2杯程度が、おおよその目安です。

会食の席で計算するのは現実的ではありませんから、私は「最初の1杯はお酒、2杯目までは自分のペース、そこから先はお茶や水を1杯挟む」という決め方をお伝えしています。数える対象を杯数に絞ってしまうほうが、その場では扱いやすいはずです。

★ 中性脂肪を指摘されている方はここに注意

アルコールそのものに加えて、締めのラーメンや甘いカクテルなど、糖質が一緒に増える場面が中性脂肪には効いてきます。お酒の量を抑えていても、締めの一杯が習慣になっているなら、そちらを先に見直すほうが効果を感じやすいことがあります。詳しくは中性脂肪が高い人の糖質・お酒の摂り方にまとめています。

Q4|翌日は、何を食べれば戻せますか

翌日は野菜と食物繊維を足す

「戻す」というより「足りなかったものを足す」と考えてください。会食で不足しがちなのは、野菜と食物繊維です。

同ガイドラインの食事療法では、食物繊維は1日25g以上が挙げられています。会食が続く時期は、ここが真っ先に削られます。

そこで翌日の一皿としてよく提案するのが、蒸し野菜の盛り合わせです。

蒸し野菜盛り合わせ

蒸し野菜盛り合わせ|ブロッコリー・にんじん・かぼちゃ・キャベツを蒸して盛り合わせた一皿 ※画像はイメージです

ブロッコリー、にんじん、かぼちゃ、キャベツを食べやすい大きさに切り、蒸し器か電子レンジでやわらかくするだけです。作る手間が少ないので、会食の翌朝でも用意できます。

◆ 栄養価(1人分の目安)

122kcal
エネルギー
8.0g
脂質
4.5g
食物繊維
0.2g
食塩相当量

ここで気づいていただきたいのが、脂質の8.0gです。野菜だけの料理なのに、なぜこの数字になるのか。添えたマヨネーズ大さじ1弱(10g)で、この一皿のエネルギーの半分以上を占めているからです。野菜そのものの分は50kcal台にすぎません。

Q2でふれたサラダの話と同じ構図です。野菜料理を選んだつもりでも、かける物で中身は変わります。翌日の一皿なら、マヨネーズをポン酢やレモン、粒マスタード少量に替えると、同じ見た目のまま脂質はぐっと下がります。かけるのをやめるのではなく、替える。この順番のほうが、味気なさを感じずに続きます。

Q5|会食が続く時期は、体重や数値をどう見ればいいですか

1週間の平均で見る

1日単位で採点しないことです。会食の翌朝に体重が増えていても、その多くは食事の量と水分による変動で、体脂肪がその日のうちに増えたわけではありません。

見るなら1週間の平均か、同じ曜日の同じ時間どうしの比較にします。会食が集中する月は「増やさずに乗り切れたら合格」くらいの目標に置き換えておくと、時期が過ぎたあとに戻しやすくなります。

血液検査のほうは、その日の食事や前日の飲酒でも動きます。とくに中性脂肪は影響を受けやすいので、会食が続いた直後の採血だけを見て落ち込む必要はありません。採血の予定が分かっているときは、前日の会食を避けられないか確認しておくと、ふだんの状態に近い数値が出ます。

おわりに

会食の多い時期は、ふだんの食事のルールがそのまま当てはまらない期間です。そこで完璧を目指すと、たいてい途中で疲れてしまいます。

やることは、席で最初の1〜2品を選ぶこと。杯数を決めておくこと。翌日に野菜を1皿足すこと。この3つだけで十分だと考えています。時期が過ぎたら、またいつもの形に戻していけば大丈夫です。全部をきちんとこなそうとせず、できた日を数えるくらいの気持ちで、ぼちぼち進めていきましょう。


免責事項・参考基準

本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。脂質異常症の食事療法は、その方の脂質の数値・病型・合併症・服薬内容によって個別に決まります。とくに飲酒の可否と量は、肝機能や服薬の状況によって判断が変わります。食事やお酒の量の調整は、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。

参考にした基準・出典の系統

出典系統 内容 記事内の使用箇所
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」 動脈硬化性疾患予防のための食事療法におけるアルコール(1日25g以下)と食物繊維(1日25g以上) Q3・Q4
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」 一般成人におけるエネルギー・脂質の考え方の前提 Q1・Q5
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」 蒸し野菜盛り合わせに用いた食材・マヨネーズのエネルギーおよび栄養値の算出基礎 Q4

※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

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