減塩調味料の選び方|「減塩」表示とカリウム入りの注意点

高血圧・心臓ケア

「減塩」と書かれた棚の前で、手が止まる

スーパーの調味料売り場には、しょうゆにもみそにも「減塩」と書かれた商品が並ぶようになりました。高血圧と言われてから、この棚の前で迷う時間が増えたという声をよく聞きます。同じ「減塩」でも、中身の仕組みはひとつではありません。

塩をそのまま減らしただけのもの。塩化カリウムという別の成分に置き換えたもの。だしや香辛料の力を借りて、塩を感じやすくしたもの。仕組みが違えば、向き不向きも変わってきます。選ぶ前に見ておきたい物差しを、順番に整理していきます。

比べる前に、見る場所を4つ決めておく

見る場所を4つ決めておく

パッケージの「減塩」の3文字だけで選ぶと、あとで「思ったほど減っていなかった」ということが起こります。比べるときは、次の4か所に目を通してからにしてください。

  • 栄養成分表示に書かれた食塩相当量の実数(1食あたり・大さじ1あたりなど、単位をそろえて比べる)
  • 原材料名に塩化カリウムの表記があるかどうか
  • いつもの料理と同じ感覚・同じ量で使えるか
  • 買い続けられる価格かどうか

「減塩」という言葉ではなく、この4つを見比べる習慣がつくと、棚の前で迷う時間は短くなります。

タイプA:塩をそのまま引いただけのもの

塩をそのまま引いただけ

減塩しょうゆや減塩みそに多いのが、このタイプです。作り方の骨格は普通のしょうゆ・みそと同じで、そこから塩分だけを技術的に落としています。味の方向性が変わらないので、いつもの料理にそのまま置き換えやすいのが特徴です。

使う量の感覚も、大きくは変わりません。ただし「減塩だから」と安心していつもより多くかけてしまうと、せっかく減らした分が相殺されます。かける量は、これまでと同じか、むしろ控えめを意識したいところです。

タイプB:塩化カリウムに置き換えたもの

塩化カリウムはカリウムに注意

食塩(塩化ナトリウム)の一部を、塩化カリウムという別の成分に置き換えた調味料があります。ナトリウムを大きく減らせる一方で、その分だけカリウムが増えます。ここは、いったん立ち止まって確認してほしいところです。

腎臓の働きが下がっている方や、主治医からカリウムを控えるよう言われている方にとって、カリウムの摂りすぎは体調に関わることがあります。CKD診療ガイドラインでも、腎臓の状態に応じてカリウムの摂り方を個別に調整するとされていて、具体的な目安量は病期や検査値によって一人ひとり違います。「減塩だから安心」と考えず、原材料名に塩化カリウムの文字があるかを確認する習慣を持ってください。

★ 迷ったら、まず主治医・管理栄養士に一言

腎臓の状態は血液検査でしか正確に把握できません。塩化カリウム入りの調味料を試す前に、次の受診や栄養相談のときに「この種類の減塩調味料を使ってもいいか」を聞いておくと安心です。透析を受けている方も同様に、まず確認してください。

タイプC:だしや香辛料の力を借りるもの

だし・香辛料で塩を感じやすく

だしを濃くきかせた調味料や、こしょう・柑橘・香味野菜を利かせた商品も、このタイプに入ります。塩そのものを置き換えるのではなく、塩以外の「おいしいと感じる材料」を増やして、結果的に塩を減らすという考え方です。

家庭の調理でも、同じことができます。だしをしっかりとった煮物や汁物は、調味料を控えめにしても物足りなさを感じにくくなります。

だしを効かせたけんちん汁

だしを効かせたけんちん汁|野菜と豆腐のうまみで、調味料は控えめに ※画像はイメージです

かつおや昆布のだしを一からとる時間がない日は、だしの利いた減塩顆粒だしを使うだけでも近い効果が得られます。この場合も表示された食塩相当量は商品ごとに差があるので、やはり実数を見て選んでください。

3タイプを並べて見る

観点 A:塩をそのまま引いた B:塩化カリウム置換 C:だし・香辛料活用
ナトリウムの減り方 商品ごとに一定の割合 大きく減る傾向 商品による
カリウムへの影響 ほぼ変化なし 増える ほぼ変化なし
使う量の感覚 いつもとほぼ同じ いつもとほぼ同じ 控えめでも満足しやすい
向いている人の目安 まず1つ試したい人 腎機能に問題がなく主治医に確認できた人 自炊で味の作り方から見直したい人

場面に合わせて選ぶなら

まず1つ置き換えてみる

高血圧だけで、腎臓の数値には問題がないと言われている方は、AでもCでも大きな心配はいりません。まずは今使っている調味料をひとつ、タイプAに置き換えるところから始めると、生活が変わりすぎず続けやすいはずです。

腎機能も気になる方、通院でカリウムの値を指摘されたことがある方は、タイプBを自己判断で選ばないでください。だしを利かせるタイプCと、かける量を見直す工夫を組み合わせるほうが、遠回りに見えて安全に続けられます。

外食や惣菜が多く、家で調味料を使う機会自体が少ない方もいます。その場合は調味料を選び直すより先に、しょうゆ差しやソースを「かける前に一度味を見る」順番に変えるほうが、効果を感じやすいことがあります。調味料選びは、そのあとの一歩と考えてもらって大丈夫です。

おわりに

「減塩」という言葉は、どのタイプの調味料にも共通して書かれています。でも中身の仕組みはそれぞれ違っていて、どれか一つがすべての人にとっての正解というわけではありません。

今日お伝えした4つの物差し、食塩相当量の実数・原材料表示・使う量の感覚・価格に、一度ご自身の状況を当てはめてみてください。迷ったときは、その物差しにそのまま戻ってくれば大丈夫です。今使っている調味料をひとつだけ見直すところから、ゆっくり始めていきましょう。


免責事項・参考基準

本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。カリウムの摂取制限が必要かどうか、必要な場合の目安量は、腎機能の状態や検査値によって一人ひとり異なります。塩化カリウムを含む減塩調味料・食塩代替品を試す前には、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先し、自己判断で導入しないでください。

参考にした基準・出典の系統

出典系統 内容 記事内の使用箇所
日本高血圧学会 減塩・栄養委員会 高血圧の食塩制限は1日6g未満を推奨 冒頭〜全体の前提
日本腎臓学会 『CKD診療ガイドライン2023』/『CKD診療ガイド2024』 腎臓病では病期・検査値に応じてカリウム摂取量を個別に調整する 「タイプB:塩化カリウムに置き換えたもの」節

※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

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