「薄味の食事はおいしくない」「減塩食品はお金がかかる」。
そう感じていませんか。実は、減塩と節約は対立するものではありません。だしをしっかり使う、酢や香味野菜を上手に活かす。この2つを軸にすると、食費を抑えながら食塩を減らせる副菜が作れます。
この記事では、高血圧と塩分の関係を整理してから、実際の作り置き副菜2品を材料・手順つきで紹介します。どちらも安い食材で作れて、冷蔵庫で数日もちます。
高血圧と食塩の関係

食塩(ナトリウム)を摂りすぎると、体は水分を抱え込んで血液量が増えます。血管にかかる圧力が上がる、これが食塩が血圧を押し上げるしくみです。
日本高血圧学会は、高血圧の方の食塩摂取量の目標を1日6g未満と定めています。一方、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」が示す成人の食塩相当量の目標量は男性7.5g未満・女性6.5g未満です。高血圧の方はより厳しい6g未満が目安になります。
日本人の平均的な食塩摂取量はこれを上回ることが多く、意識的に減らす工夫が欠かせません。とはいえ、「味気ない食事を我慢して続ける」という方向は長続きしません。大事なのは、物足りなさを別の風味で補う技術です。
★ 塩を減らすのに頼れる2大ツール
だし(昆布・かつお): うま味成分が舌を刺激するため、塩が少なくてもしっかりした味に感じます。昆布は1パック数百円で何度も使え、コスパのよい減塩の味方です。
酢・柑橘汁: 酸味が塩味を引き立てる効果(酸塩効果)があります。食塩をほとんど使わなくても、酸味があると物足りなさを感じにくい。きゅうりの酢の物が典型例です。
家計にやさしい食材の選び方

減塩の作り置きに向いている食材は、価格が安定していて保存しやすいものがほとんどです。
乾物: 切り干し大根・わかめ・昆布・ひじき。乾燥しているので日持ちが良く、水で戻せばすぐ使えます。少量でも食物繊維やミネラルをしっかりとれます。
旬の野菜: なす・きゅうり・ほうれん草・小松菜など。旬の時期は価格が下がる上、栄養価が高い。なすは夏から秋が最も安く出回ります。
酢: 米酢や穀物酢は1本200円台から買えて、使いこなせば減塩の大きな武器になります。
◆ カリウムについての補足
野菜・海藻にはカリウムが多く含まれ、過剰な食塩を体外に排出する作用があります。高血圧の方にとって積極的にとりたい栄養素のひとつです。ただし、腎臓の機能が低下している方はカリウム制限が必要な場合があります。食事変更前に必ず主治医や担当の管理栄養士に確認してください。
作り置きレシピ1 : なすの煮浸し

だしを使って、しょうゆを最小限に抑えた定番副菜。なすは油で炒めると食塩の問題より前に脂質が増えますが、煮浸しなら油を使わずに調理できます。粗熱をとってから冷蔵保存すれば、3〜4日はもちます。

※画像はイメージです
| なす | 100g(中1本) |
| かつおだし | 50ml |
| こいくちしょうゆ | 9g(小さじ1.5) |
| 本みりん | 6g(小さじ1) |
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なすはヘタを落として縦半分に切り、皮に斜めの切り目を数本入れる。切り口を上にして数分おき、アクを出す。
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かつおだし・しょうゆ・みりんを小鍋に合わせて中火にかけ、煮立ったらなすを加える。
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ふたをして弱火で8〜10分煮る。途中で上下を返してだしを全体に含ませる。
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火を止めてそのまま冷ます。冷めるほどなすに味が入り、落ち着いた味になります。
◆ 栄養価(1人分の目安)
※1食あたりの目安です
★ 塩分を抑えるポイント
だしを50ml使うことで、しょうゆが少量でも十分な風味が出ます。煮汁を全部飲まなければ食塩の実際の摂取量はさらに下がります。盛り付け時に大葉やしょうがを添えると、香りが補助してくれてさらに薄味でも満足感が出ます。
作り置きレシピ2 : きゅうりとわかめの酢の物

酢を主役にした副菜は、食塩をほとんど使わなくても味が決まります。食塩相当量0.5gという低さが、高血圧の方の食事に特に向いている理由です。きゅうりもわかめも年間を通じて安定した価格で手に入ります。

※画像はイメージです
| きゅうり | 50g(約半本) |
| 乾燥わかめ(素干し) | 2g程度(水戻しで5g) |
| 米酢 | 10g(小さじ2) |
| 上白糖 | 3g(小さじ1弱) |
| こいくちしょうゆ | 3g(小さじ1/2) |
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乾燥わかめをたっぷりの水で5〜10分かけて戻す。水気をしっかり絞っておく。
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きゅうりは薄い輪切りにしてボウルに入れ、少量の塩(分量外)を振って5分おき、出てきた水気をしっかり絞る。塩は後で酢で流れるため、表面についた塩分は大幅に落ちます。
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米酢・上白糖・しょうゆを合わせて三杯酢を作る。
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きゅうりとわかめを和えて、三杯酢で全体を混ぜる。冷蔵で1〜2日保存可。
◆ 栄養価(1人分の目安)
※1食あたりの目安です
★ 節約のコツ
乾燥わかめは小分けで売っていることも多く、一袋で数十食分。単価で考えるとかなり安い食材です。糸かんてんを少し混ぜると食感が変わって飽きにくくなります。きゅうりの代わりにたこや大根を使えば、同じ三杯酢で別の酢の物に展開できます。
2品を使った夕食の献立例

作り置きがあると、平日の夕食が格段に楽になります。たとえばこんな組み合わせです。
| 主食 | ごはん(普通盛り) |
| 主菜 | 鮭の塩焼き(塩少なめ) |
| 副菜① | なすの煮浸し(作り置き) |
| 副菜② | きゅうりとわかめの酢の物(作り置き) |
副菜2品の食塩相当量の合計は、なすの煮浸し1.4g+酢の物0.5g=約1.9g。主菜は塩少なめの焼き魚など減塩調理で仕上げると、夕食全体の食塩を6g以内に抑えやすくなります。
「全部を薄くしろ」という話ではなく、塩味が必要な主菜1品に絞り、副菜は酸味やだしで補う配分にするのがコツです。
保存の目安
どちらの作り置きも、清潔な容器に入れて冷蔵保存が基本です。
- なすの煮浸し: 3〜4日。冷めた状態でタッパーに移し、煮汁ごと入れると味が安定します。
- きゅうりとわかめの酢の物: 1〜2日。きゅうりは時間が経つと水分が出るため、食べる直前に軽く混ぜ直すときれいに盛れます。
どちらも作り置きを前提に設計された調味量なので、翌日のほうが味が落ち着いておいしいことも多いです。週のはじめに作っておく習慣を持てると、忙しい平日でも続けやすくなります。
免責事項・参考基準
本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供であり、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。高血圧の食事療法は、病態・合併症・服薬内容によって最適な内容が変わります。食事の変更は、担当の主治医および管理栄養士の指示を優先してください。
参考にした基準・出典の系統
| 出典系統 | 内容 | 記事内の使用箇所 |
|---|---|---|
| 日本高血圧学会 減塩委員会(jpnsh.jp) | 高血圧患者の食塩目標量: 1日6g未満 | 「高血圧と食塩の関係」節 |
| 日本人の食事摂取基準(2025年版)(厚生労働省) | ナトリウム目標量(男性7.5g未満・女性6.5g未満) | 同節 |
※高血圧治療ガイドラインは改訂により変わることがあります。最新の食塩目標値は主治医または日本高血圧学会の公式情報をご確認ください。

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