HbA1cと血糖値は何が違う?検査結果から食事を振り返る見方

糖尿病ケア

本記事は一般的な情報提供であり、個別の治療方針は主治医・担当管理栄養士の指示を優先してください。

「7.0%未満」という数字、実際どのくらいでしょうか

受診のたびに渡される検査結果に、HbA1cという欄があります。数字だけ見て「先月より0.2上がった」「下がってひと安心」と一喜一憂したことがある方は多いのではないでしょうか。

日本の糖尿病診療でよく使われる目標のひとつが「HbA1c 7.0%未満」です。合併症予防の目安として置かれている数字ですが、これが具体的に何を映しているのかまでは、あまり説明されないまま日々の食事に戻ることが多いように感じます。

この記事では、この数字の意味を確認したうえで、食品・1日・調子が乱れた日という3つの場面に置き換えて考えてみます。

冬瓜の煮物
冬瓜の煮物。低カロリーで食物繊維も含む副菜は、血糖値の上がり方を穏やかにする組み合わせに向いています(※画像はイメージです)

その数字の意味を、まず確認する

HbA1cは1〜2か月の平均

血糖値とHbA1cは、同じ「血糖」という言葉がついていても、映しているものが違います。

血糖値は「検査したその時の、血糖の濃度」を表す値です。空腹時に測るか、食後に測るかで数字は大きく動きます。一方でHbA1cは、赤血球のヘモグロビンにブドウ糖がどれだけくっついたかを示す値で、過去1〜2か月のあいだ、血糖値がどのあたりで動いていたかを映しています。その日の食事や体調で上がったり下がったりする血糖値と違って、HbA1cはその期間をならした平均のような数字、と思っていただくといいかもしれません。

血糖コントロールの目標は、対応関係で示されています。

血糖コントロールの目標値

正常化を目指す目標 HbA1c 6.0%未満
合併症予防のための目標 HbA1c 7.0%未満(空腹時血糖130mg/dL未満・食後2時間血糖180mg/dL未満に対応)
治療強化が困難な際の目標 HbA1c 8.0%未満

つまり7.0%という数字は「毎回の食後血糖が180を大きく超えない状態が、1〜2か月続いている」ことのおおまかな目安ということです。1回の血糖値だけでは見えない積み重ねを、この数字が代わりに教えてくれています。

食品に置き換えると

一皿の積み重ねが効く

血糖値は、食事のたびに上がって下がるものです。同じ量のご飯でも、単品で食べるのと、食物繊維を含む副菜と一緒に食べるのとでは、上がり方の緩やかさが変わってきます。

たとえば冬瓜のように水分が多く低カロリーな野菜を、だしと薄めの味付けで煮た副菜は、主菜・主食の横に置くだけで食事全体のかさを増やし、ゆっくり食べる時間を作ってくれます。派手さはありませんが、こうした一皿の積み重ねが、後述する「1〜2か月の平均」に効いてきます。

1日に割ると

1日3回の波が重なる

HbA1cが1〜2か月の平均だと知ると、逆算して1日単位、1食単位で考えやすくなります。

朝食・昼食・夕食、それぞれの食後に血糖値が上がって下がる。この波が1日に3回起きて、それが60日近く積み重なった先にHbA1cの数字があります。1回の波が少し高くても、次の食事で元に戻せていれば、全体としてはならされていきます。逆に言えば、毎回の波が高いまま戻りにくいと、数字は少しずつ押し上げられていきます。

「今日1食だけ食べすぎたから来月の数字が跳ね上がる」ということは、実際にはあまり起きません。日々の食事は積分のようなもので、1回ではなく積み重ねが数字を作っています。

数値がずれた日の埋め方

ずれた日は次の食事で戻す

とはいえ、行事や外食が続いて食後の血糖値が高めに出やすい期間はどうしても出てきます。そんなときに大切なのは、その1回を取り返そうと極端に食事量を減らすことではありません。

ずれを戻すときの考え方

次の食事は、いつも通りの量・いつも通りの主食に戻す。無理に抜かない。

間食や飲み物の糖質量だけ、次の1〜2日は控えめにする。

「なぜその日だけ乱れたか」を振り返り、次の同じ場面に備える。

1回の食事や1回の検査値だけを見て落ち込む必要はありません。HbA1cはもともと、1回のブレを飲み込むためにある数字です。むしろ、乱れた翌日にいつも通りの食事に戻せるかどうかのほうが、次の検査結果には効いてきます。

おわりに

HbA1cという数字自体を細かく覚えておく必要はありません。それより、食後に「今日はよく噛んで食べられた」「野菜から先に箸をつけられた」という量の感覚を、日々持ち帰ってもらえたらと思います。検査結果は、その積み重ねを後から確認するための道具です。焦らず、次の食事からひとつずつ、一緒に整えていきましょう。


免責事項・参考基準

本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。HbA1cの目標値は年齢・合併症の有無・低血糖リスクなどにより一人ひとり異なります。食事の変更や数値の解釈は、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。

参考にした基準・出典の系統

出典系統 内容 記事内の使用箇所
糖尿病情報センター「HbA1cと血糖値のちがい」(国立健康危機管理研究機構) 血糖値はその場の濃度、HbA1cは過去1〜2か月の血糖値がどのあたりで動いていたかを映す その数字の意味を、まず確認する
糖尿病情報センター「血糖コントロールの目標」(国立健康危機管理研究機構) HbA1c目標値(6.0%未満/7.0%未満/8.0%未満)と対応する空腹時・食後血糖値 その数字の意味を、まず確認する

※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

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