中性脂肪が高い人の糖質・お酒の摂り方|量と種類の目安を管理栄養士が解説

脂質異常・コレステロール

居酒屋に行けばビールから始まって枝豆とから揚げ、〆にラーメン。甘いものが好きで、缶コーヒーやジュースを毎日飲む習慣がある。健康診断で「中性脂肪が高め」と言われた方のなかには、こうした食生活に心当たりがある方も少なくありません。

中性脂肪(トリグリセリド)は、コレステロールと並ぶ脂質の指標です。食事中の糖質とアルコールが、中性脂肪を上げる代表的な原因として知られています。脂っこいものだけに気をつければいい、というわけではないのが中性脂肪の特徴です。

この記事では、中性脂肪が高い方が食事で意識したい糖質とお酒の摂り方を、数値を示しながらまとめます。

この記事でわかること

  • 中性脂肪150mg/dL以上が「高い」と判断される基準の根拠
  • 糖質(特に果糖・清涼飲料水)が中性脂肪を上げる仕組み
  • 1日の糖質の目安と減らしやすい食品
  • アルコールの純エタノール換算と酒の種類別の目安量
  • 中性脂肪が高い方に合う具体的な食べ方のポイント

まず「中性脂肪が高い」の基準を確認する

中性脂肪の基準値

日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、空腹時血液検査で中性脂肪(トリグリセリド)が150mg/dL以上を「高トリグリセリド血症」と定義しています。

健康診断の結果票で「TG」「中性脂肪」と書かれた欄の数字が150を超えていたら、食事の見直しを考えるタイミングです。

中性脂肪の判定基準(空腹時・日本動脈硬化学会2022)

判定
150mg/dL 未満 基準範囲内
150〜169mg/dL 境界域(ボーダーライン)
170mg/dL 以上 高トリグリセリド血症
500mg/dL 以上 急性膵炎リスクが高まる

中性脂肪の数値は食事の影響を受けやすく、前日の食事内容や飲酒量によって翌日に大きく変動することがあるのも特徴です。1回の検査結果だけで判断せず、主治医と複数回の数値をもとに対策を話し合うことが大切です。


糖質と中性脂肪の関係

糖質と中性脂肪の関係

中性脂肪が高い方に食事指導をするとき、脂っこいものより先に「糖質の摂りすぎ」を確認することがあります。なぜ糖質が中性脂肪に関係するのでしょうか。

食事で摂った糖質は、小腸でブドウ糖(グルコース)に分解されて吸収されます。このブドウ糖は肝臓でエネルギーとして使われますが、使いきれなかった分は脂肪酸合成の経路を通って中性脂肪に変換されます。作られた中性脂肪はVLDL(超低密度リポたんぱく)という形で血液中に放出されるため、血液中の中性脂肪値が上がる仕組みになっています。

糖質が多い食事を続けると起きること

  1. 食事から摂ったブドウ糖が肝臓でエネルギーを超える
  2. 余分なブドウ糖が中性脂肪に変換される
  3. 中性脂肪がVLDLとして血液中に出てくる
  4. 血液中の中性脂肪値が上がる

果糖(フルクトース)は特に注意が必要

糖質のなかでも「果糖(フルクトース)」は、肝臓で直接中性脂肪の原料になりやすいという点で注意が必要です。

ブドウ糖と異なり、果糖は肝臓で代謝される際にインスリンをほとんど介さず、脂肪酸合成に直結するルートに入りやすい性質があります。清涼飲料水や加工食品に多く使われている「果糖ぶどう糖液糖」「異性化糖」「高果糖コーンシロップ」はこの果糖を多く含んでいます。

「炭酸飲料やジュースはたまにしか飲まない」という方でも、缶コーヒーや甘い乳飲料を毎日飲む習慣があれば、果糖の積み重ねが中性脂肪に影響している可能性があります。

果糖を多く含む飲み物・食品の例

食品・飲料 注意点
清涼飲料水(コーラ・スポーツドリンク・フルーツジュース) 果糖ぶどう糖液糖を多く含むものが多い
缶コーヒー・甘い乳飲料 「加糖」タイプは果糖が含まれやすい
果物(特にりんご・ぶどう・もも) 天然の果糖。食べすぎに注意
菓子パン・洋菓子 砂糖(ショ糖)は果糖とブドウ糖が1:1)

糖質の量を意識する:1食の目安

「糖質を制限する」というと、主食をゼロにするイメージを持つ方もいます。でも中性脂肪の改善のために必要なのは、極端な制限ではなく「1食で摂る糖質の量を少し見直す」ことです。

日本動脈硬化学会のガイドライン2022では、脂質異常症の食事療法として炭水化物エネルギー比50〜60%を推奨しています。1日2000kcalの方であれば、炭水化物から1000〜1200kcalつまり約250〜300gの炭水化物が目安。炭水化物全体から食物繊維を引いたものが「糖質」なので、実際の糖質はこれより少なくなります。

1食あたりの主食と糖質量の目安

主食 糖質(概算)
ご飯(白米) 1膳(150g) 約55g
食パン 6枚切り1枚(60g) 約27g
うどん(ゆで) 1玉(230g) 約48g
スパゲッティ(ゆで) 1人分(230g) 約68g

※日本食品標準成分表2020年版(八訂)をもとに計算した概算値

「白米を完全にやめる」よりも、ご飯を大盛りにしない・お代わりをしない・丼ものの頻度を週1回に抑えるという調整が現実的です。食後に単品でジュースや甘いデザートを追加するのも糖質の積み上げになりやすい部分です。

単糖類・ショ糖を特に絞る

白米や麺類の炭水化物よりも、砂糖(ショ糖)・果糖など単純な糖類のほうが血中の中性脂肪を上げやすいとされています。

主食のご飯は複合炭水化物として消化・吸収に一定の時間がかかりますが、清涼飲料水の果糖ぶどう糖液糖は液体で即座に吸収されます。中性脂肪が気になる方は、主食を少し減らすより先に、飲み物の「加糖」を見直す効果が出やすいことがあります。


さばの水煮缶でEPA・DHAも補う

中性脂肪が高い方の食事では、糖質を見直すと同時にEPA・DHA(オメガ3系脂肪酸)を含む魚を取り入れることも重要です。

さばの水煮缶は、手軽にEPA・DHAを補える食材のひとつ。日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、さば水煮缶(液汁を含む)100g中のEPAは約930mg、DHAは約1,300mgとなっています。

さばの水煮缶

さばの水煮缶|EPAとDHAが手軽に摂れる定番食材 ※画像はイメージです

週に2〜3回のペースで青魚(さば・いわし・あじ・さんまなど)を取り入れると、食事全体のバランスが整いやすくなります。缶詰は長期保存でき、調理不要でそのままご飯のおかずになるので続けやすい選択肢です。


アルコールと中性脂肪の関係

アルコールと中性脂肪

「お酒を飲むと中性脂肪が上がる」という話を聞いたことはあるでしょうか。これは事実で、アルコール自体が中性脂肪を上げる複数の経路を持っています。

エタノール(アルコール)は肝臓で代謝されるとき、脂肪酸の合成を促進し、肝臓からのVLDL(中性脂肪を運ぶリポたんぱく)の分泌量を増やします。さらに、アルコールは中性脂肪の分解を担う「リポたんぱくリパーゼ」という酵素の働きを妨げるため、血液中の中性脂肪が下がりにくくなります。

加えて、お酒と一緒に食べるおつまみ(揚げ物・菓子・甘味など)が糖質・脂質の上乗せになるため、飲酒の場はトリプルの負荷がかかりやすい食事シーンでもあります。

エタノール量の目安:25g/日以下

日本動脈硬化学会のガイドライン2022では、脂質異常症の食事療法としてアルコールを控えることを推奨しており、特に高トリグリセリド血症(中性脂肪高値)がある方には節酒・禁酒が重要とされています。

一般的な目安として、1日あたりの純エタノール量25g以下が食事指導でよく使われる基準です。ただし中性脂肪が高い方は、さらに少ない量(または禁酒)を主治医と相談することをすすめします。

酒の種類別・純エタノール25gに相当する量の目安

お酒の種類 アルコール度数 25gに相当する量(概算)
ビール(中瓶500ml・度数5%) 約5% 中瓶1本(500ml)
日本酒(度数15%) 約15% 1合(180ml)
焼酎(25度) 約25% グラス1杯(100ml)程度
ワイン(度数12%) 約12% グラス2杯(約200ml)
缶チューハイ(度数9%・350ml) 約9% 1缶(350ml)弱
ウイスキー(43度) 約43% シングル2杯(60ml)弱

※純エタノール量(g)の計算式:飲酒量(ml)× アルコール度数(%)÷ 100 × 0.8(エタノールの比重)

「糖質オフ」のビール・チューハイは中性脂肪対策になる?

スーパーやコンビニで「糖質ゼロ」「糖質オフ」と書かれた商品を見かけます。糖質自体は減っていますが、アルコール分(エタノール)が含まれている限り、中性脂肪への影響はなくなりません

「糖質ゼロだから大丈夫」という考え方は注意が必要です。量と頻度を控えることが本質的な対策になります。


中性脂肪対策としての食事のポイントをまとめると

食事ポイントのまとめ

ここまでの内容を整理します。

中性脂肪が高い方が食事で意識したいこと

  1. 清涼飲料水・甘い飲み物を控える:果糖ぶどう糖液糖は特に中性脂肪を上げやすい
  2. 主食の量を大盛りにしない:炭水化物の摂りすぎが中性脂肪の材料になる
  3. お酒は量と頻度を減らす:純エタノール25g/日を目安に、主治医の指示を優先
  4. 青魚(さば・いわし・あじ)を週2〜3回取り入れる:EPA・DHAが中性脂肪の低下に働きかける
  5. 揚げ物・お菓子を飲酒と組み合わせない:糖質+脂質+アルコールの重なりを避ける

「何を禁じるか」という視点より「どこを少し変えるか」から入るほうが、続けやすいと感じています。すべて一気に変えなくても、まず清涼飲料水をお茶や水に替える、週のうち2日は休肝日にする、という小さな変化から始めると動きやすいです。


おわりに

中性脂肪は、食事の影響を比較的受けやすい指標です。コレステロールと違って「脂っこいもの」だけでなく、糖質(特に果糖・清涼飲料水)とアルコールが大きく関係するという点を知っておくと、食事の見直しポイントが見えやすくなります。

主食や主菜の全体バランスを整えながら、「飲み物の甘み」と「飲酒の量と頻度」から手をつけてみてください。日々の小さな選択の積み重ねが、数ヶ月後の検査結果に表れてくることがあります。


免責事項・参考基準

本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。
高トリグリセリド血症(中性脂肪高値)の食事療法は、そのほかの脂質の値・血圧・血糖・肝機能・服薬内容によって個別に方針が変わります。本記事に書かれた目安値(特に糖質量・アルコール量)はあくまで一般的な参考情報です。食事内容の変更やアルコールの摂取量の調整は、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。

参考にした基準・出典の系統

出典系統 内容 記事内の使用箇所
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」 高TG血症の診断基準(150mg/dL以上)・食事療法の推奨(炭水化物50〜60%・節酒) 基準値表・糖質の目安・アルコール目安
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」 炭水化物エネルギー比の目標量(成人50〜65%) 糖質の1日量の目安
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 各食品の炭水化物・EPA・DHA含有量 主食の糖質量表・さば缶のEPA/DHA値

※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

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