旅行・帰省中の減塩|数日だけの乗り切り方

高血圧・心臓ケア

よく聞かれる質問から、順番に

お盆や年末年始、旅行の予定が近づくと「このあいだの食事、いつも通りにいくのかな」と気になる方は少なくありません。数日間の食事について、よく聞かれる質問から順番に答えていきます。

Q1|旅行中は、いつもの減塩をあきらめたほうがいいですか

あきらめず数日で帳尻を合わせる

あきらめる必要はありません。ただし「毎食を普段どおりに」を目指さなくて大丈夫です。高血圧の食塩の目安は1日6g未満とされていますが、これは1食単位ではなく、数日〜普段の生活全体で見ていく数字です。旅行中の1食が多めになった分は、その前後の食事や帰宅後の数日で帳尻を合わせる、くらいの発想でちょうどいいです。

完璧を求めすぎると、旅行そのものが気疲れするものになってしまいます。数日間だけの特別な食事だと割り切って、気になったところだけ調整する。そのくらいの構えで十分です。

たとえば1日6g未満を3日間で考えると、目安は合計18gです。旅先の1食で1〜2g多く摂ってしまっても、他の2食を控えめにしておけば、3日というスパンでは帳尻が合います。1食ごとに合格・不合格を判定しなくて大丈夫です。

Q2|旅館の食事、何に気をつければいいですか

旅館は汁物と朝食に注意

品数が多い懐石料理は、汁物や煮物が重なりやすいのが特徴です。汁物は全部飲みきらず一口、二口にとどめる。刺身のしょうゆや天つゆは、小皿に少なめに注いでつける。この二つだけでも、ずいぶん変わります。

朝食のバイキングも要注意です。干物・漬物・佃煮は、それぞれは小さくても品数を重ねると合計が増えていきます。

バイキングでの選び方

お皿に取る前に「今日はこれとこれ」と2〜3品に絞ってしまうと、あとから足しすぎずに済みます。汁物は具だけを選び、汁は残すという手もあります。

夕食が部屋食やコース仕立ての場合、最初に出る先付けや酢の物は塩分控えめなことが多く、後半の煮物・焼き物・揚げ物にかけて塩分が積み重なりやすい傾向があります。コース後半にさしかかったら、たれや漬け合わせを残す判断をしても大丈夫です。

Q3|帰省先の手料理、どう伝えればいいですか

手料理は伝え方ひとつ

一番悩ましいのが、家族が用意してくれた手料理です。せっかく作ってもらったものを「食べられない」と言うのは気が引けるという声をよく聞きます。

作ってもらった分は残さずいただきながら、おかわりや卓上調味料の追加を控えめにする。それだけでも十分な調整になります。伝え方に困ったら「今、減塩を頑張っているところなので、お味は薄めでもうれしいです」くらいの一言で十分伝わります。指導や説教のように聞こえない言い方を選んでください。

「年寄りの味付けは濃いほうが安心」と、あえて濃いめに用意してくれる家庭もあります。角が立たない伝え方としては、「最近病院で言われていて」と事情を先に伝えておくと、次の食事から加減してもらいやすくなることが多いです。

Q4|移動中の駅弁・サービスエリア・コンビニは何を選べばいいですか

駅弁は食塩相当量を確認

駅弁やコンビニ弁当は、栄養成分表示に食塩相当量が書かれています。選ぶときにその数字を一度確認する習慣をつけておくと、旅行中でも自分の目安を持ちやすくなります。

漬物・佃煮・練り物のおかずは、量が少なくても塩分が濃いものが多いです。弁当のおかずをひとつ残すだけでも、調整になります。スポーツドリンクや経口補水液は塩分を含む種類があるので、暑い時期にたくさん飲む場合は水やお茶と使い分けるのも一つの工夫です。

幕の内弁当や助六寿司のように品数が多いものは、佃煮・漬物・練り物が複数入っているぶん塩分が積み重なりやすい構成です。丼ものやカレーは、ご飯にたれやルーがかかっているため、見た目より塩分量が多いことがあります。迷ったときは、おかずの種類が少なく調理法がシンプルな弁当を選ぶと計算しやすくなります。

Q5|帰ってから、どう戻せばいいですか

戻すのは数日かけてゆっくり

急に絞り込む必要はありません。旅行前のいつもの食事に、数日かけてゆっくり戻していけば十分です。むくみや体重の増加が気になる、いつもと違う症状があるという場合は、我慢せず早めに主治医に相談してください。

体重を測る習慣がある方は、旅行前後で1〜2kg程度の増えが出ることがありますが、これは食事量や水分によるもので、数日でまた元に戻ることがほとんどです。1回の数字で焦らず、1週間ほどの変化で見てください。

もずく酢

もずく酢|旅行先の濃い味に慣れた舌を、家庭の一品でゆっくり戻す ※画像はイメージです

戻す最初の一食に、もずく酢のような酢の物を一品添えるだけでも、いつものペースに気持ちが向きやすくなります。

おわりに

旅行や帰省は、日常の食事のリズムがどうしても変わる数日間です。すべてを普段どおりにしようとせず、ここで挙げた質問のうち気になったところだけ持ち帰ってもらえれば十分です。ここで答えきれなかった疑問や、お薬・体調に関わることは、次の受診のときに主治医や担当管理栄養士に聞いてみてください。旅行の予定を、無理に我慢する時間にしなくて大丈夫です。


免責事項・参考基準

本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。持病の状態や服薬内容によって注意点は一人ひとり異なります。食事の変更や旅行中の調整については、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。

参考にした基準・出典の系統

出典系統 内容 記事内の使用箇所
日本高血圧学会 減塩・栄養委員会 高血圧の食塩制限は1日6g未満、DASH食を推奨 Q1・全体の前提

※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

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