135/85
家庭の血圧計で高血圧とされるのは、この数字からです。上が135mmHg以上、または下が85mmHg以上。診察室で使われる140/90より、少し低いところに線が引かれています。
血圧計を買ったばかりの方から「何を目印にすればいいのか」と聞かれることがよくあります。数字を覚えるのは簡単ですが、その数字が意味を持つのは、測り方と残し方がそろっているときだけです。今日はそこを順に見ていきます。
診察室より低い線が引かれている理由

家庭の基準が低めなのは、測る場所と状況が違うからです。病院では緊張して高めに出る方がいます(白衣高血圧)。逆に、病院では落ち着いているのに家や職場で高くなる方もいます(仮面高血圧)。
どちらも、診察室の1回の数字だけでは見つかりません。家で毎日測った記録があると、この差が見えるようになります。診察の場で「家ではこのくらいです」と言えることに、そういう意味があります。
血圧の目標値そのものは、年齢や合併症、腎臓の状態によって一人ひとり違います。135/85はあくまで「高血圧かどうか」を分ける一般的な線で、あなたの目標値は主治医が決めるものと考えてください。
数字がぶれないように、条件をそろえる

血圧は、少し動いただけでも上下します。だからこそ、毎回同じ条件で測ることが先で、数字を気にするのはそのあとです。
朝は起床後1時間以内、食事と薬の前に。夜は就寝前に。測る前は5分から10分ほど座って落ち着いてから。腕は毎回同じ側で、カフの位置は心臓の高さに。この4つがそろっていれば、日ごとの比較ができる数字になります。
★ 測る前に、よくある落とし穴
直前にコーヒーを飲む、たばこを吸う、トイレを我慢している、寒い脱衣所で測る。いずれも数字が動きます。冬に「急に上がった」と言われる方の多くは、部屋の温度差が関わっています。
会話しながら測るのも上がる原因になります。測っている数十秒は黙って座っていてください。
書くのは3つだけでいい

記録が続かない方の多くは、書く項目を増やしすぎています。最初に決めておきたいのは、次の3つだけです。
| 残すもの | 書き方 |
|---|---|
| 日付と時間帯 | 「10/8 朝」「10/8 晩」で十分 |
| 血圧の値 | 上/下の順に。脈拍も出るなら添える |
| 一言メモ | 眠れなかった、外食、飲み会、風邪ぎみ など |
3つ目のメモが、受診のときにいちばん効きます。数字だけが並んだ表より、「この日は法事で外食」と一行あるほうが、医師は判断しやすくなります。高い日があったこと自体は、隠さなくて大丈夫です。
紙の血圧手帳でも、アプリでも、カレンダーの余白でもかまいません。診察に持っていける形かどうかだけ、先に確かめておいてください。アプリの場合、画面を見せるのか、印刷して渡すのか。ここで手間取って、結局見てもらえないことがあります。
1回の数字で決めない

測り始めた方が最初につまずくのが、1回ごとの数字に反応してしまうことです。150という数字が出ると不安になり、もう一度測る。落ち着かないまま測るので、また高い。これを繰り返すと、測ること自体がつらくなります。
血圧は1日の中でも動きます。判断は、1週間ぶんを並べて眺めてから。見るのは1回の値ではなく、朝の値の並び方です。全体として下がってきているか、ある曜日だけ高いか。そこに意味があります。
食事との関係も、同じ見方をします。減塩を始めても、翌日に数字が動くとは限りません。高血圧の食塩の目標は1日6g未満とされていますが(日本高血圧学会)、その効果は数週間かけて現れます。1日単位で採点せず、記録がたまってから振り返るくらいでちょうどいいと思います。
食卓のほうも、少しだけ

記録を続けていると、外食や漬物が続いた週の並びが、なんとなく見えてきます。そのときに1品足しやすいものを紹介します。塩を使わない、大根の甘酢漬けです。

大根の甘酢漬け|塩を使わず、酢と砂糖だけで漬けた小鉢 ※画像はイメージです
◆ 栄養価(1人分の目安)
作り方は簡単です。皮つきの大根80gを短冊に切ってやわらかくゆで、粗熱をとってから米酢10gと砂糖5gに漬けるだけ。半日おけば味がなじみます。市販の漬物のかわりにこれを置くと、その1品ぶんの食塩がまるごと減ります。
なお腎臓の働きが下がっていると言われている方は、カリウムの摂り方に指示が出ていることがあります。野菜の小鉢を増やすときは、量を主治医か担当の管理栄養士に確認してください。
おわりに
血圧計は、買った日がいちばんやる気のある日です。その勢いで細かく記録を作り込むより、朝と晩に1回ずつ、値と一言メモだけを残すほうが、次の受診まで残ります。
数字は毎日きれいに下がってはくれません。上がった日を消したくなりますが、その日こそ医師に見てほしい記録です。まずは1週間ぶん、そのまま持っていってみてください。続けているうちに、自分の血圧の癖が見えてきます。
免責事項・参考基準
本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。血圧の目標値・測定の頻度・治療方針は、年齢や合併症、腎機能、服薬内容によって一人ひとり異なります。記録の値をもとに自己判断で薬を増減せず、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。
参考にした基準・出典の系統
| 出典系統 | 内容 | 記事内の使用箇所 |
|---|---|---|
| e-ヘルスネット「高血圧」(厚生労働省 健康日本21アクション支援システム) | 診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧はより低い135/85mmHg以上が基準 | 冒頭/「診察室より低い線」節 |
| 国立循環器病研究センター「高血圧」 | 家庭血圧の測定タイミング(起床後1時間以内・食事や服薬の前、就寝前)、測定前に5〜10分安静 | 「条件をそろえる」節 |
| 日本高血圧学会 減塩・栄養委員会 | 高血圧の食塩制限は1日6g未満を推奨 | 「1回の数字で決めない」節 |
※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

