「三日坊主で終わってしまった」。食事記録や血糖値の記録について、こう話す方によく出会います。最初の1週間は几帳面に書けていたのに、忙しい日が続いてノートを開かなくなる。そんな経験がある方は、決して少なくないと思います。
記録が続かないのは、意志の弱さの問題というより、書く項目が多すぎることが原因の場合が多いです。この記事では、よく聞かれる5つの疑問に、1問ずつ答える形で進めます。読みながら、自分に近い質問だけ拾ってもらえたらと思います。
◆ この記事でわかること
- 書く項目を3つまで絞る具体的なやり方
- 抜けた日をどう扱えばいいか
- 紙とアプリ、どちらを選ぶかの物差し
- 記録を見返すときのコツ
- 受診のときに持っていく残し方
Q1. 何を書けばいいのか分からず、結局続きません

書く項目を、まず3つに絞ってください。「食べたもの」「食べた時間」「その日の体調、もしくは測った血糖値」です。この3つだけあれば、あとから振り返ったときに十分な手がかりになります。
はじめのうちは、カロリーや糖質量まで細かく書き込もうとして疲れてしまう方が多いです。食べたものは品目だけでよく、「ご飯・焼き魚・味噌汁」のように単語を並べるだけでも十分です。細かい数値は、あとで気になったときに調べれば足ります。まずは3項目を、毎日欄を埋められる形で残すことを優先してください。
Q2. 毎食きっちり書けない日があります

抜けた日は、空欄のまま次へ進んでください。あとから思い出して埋め直す必要はありません。
記録が途切れがちな方の話を聞くと、「昨日の分を埋めていないから、今日はもう書かなくていいか」となってしまうケースがよくあります。空欄を埋めることに気を取られると、そこで記録自体が止まってしまいます。1日抜けても、翌日からまた欄を埋め始めればそれで十分です。飛び飛びの記録でも、続いている限り傾向はつかめます。
Q3. 紙とアプリ、どちらがいいですか

どちらが正解ということはなく、続けやすいほうを選んでください。選ぶときの物差しは、見返しやすさ・入力の手数・受診で見せやすさの3点です。
紙のノートは、パッと開いて1週間分をひと目で見渡せるのが強みです。一方でアプリは、入力の手数が少なく済み、外出先でもすぐ記録できます。どちらを使うにしても、受診のときにそのまま持っていって見せられる形かどうかは、選ぶ前に確認しておくとよいです。特定のアプリ名を挙げることはしませんが、シンプルに数字と品目を入れるだけのものであれば、どれを選んでも大きな差は出にくいはずです。
Q4. 書いた記録を、どう見返せばいいですか

犯人探しにしないことが、いちばん大事です。「あの日食べすぎたから悪かった」と1日ごとに反省するのではなく、1週間から2週間分をまとめて眺めて、傾向を1つ見つけるくらいでかまいません。
たとえば「土日の記録が抜けやすい」「間食の時間が遅い日が多い」など、繰り返し出てくる傾向があれば、それが今の自分に必要な手がかりです。見返す目的は、過去を責めることではなく、次の1週間で試すことを1つ決めるためです。ここで見つけた傾向は、糖尿病でも糖質は摂っていい?1日の目安と上手な摂り方のような日々の目安と照らし合わせると、より具体的に次の一手が見えてきます。
Q5. 受診のとき、何を持っていけばいいですか

期間がわかる形で、食事以外の出来事も1行添えて持っていってください。「いつからいつまでの記録か」がはっきりしていると、主治医や担当の管理栄養士も状況をつかみやすくなります。
体調の変化・外食が続いた日・体重の増減など、食事の欄だけでは伝わらない出来事も、余白に一言メモしておくと役立ちます。きれいに整えた記録である必要はなく、抜けた日があってもそのまま見せてかまいません。むしろ「ここが抜けがちでした」と伝えること自体が、次の相談の材料になります。
記録に書きやすい常備菜を1品

食事記録は、品目を単語で書くだけでよいとお伝えしましたが、常備菜が1品あると「たたきごぼう」のように短く書けて負担が減ります。作り置きができる副菜を紹介します。

たたきごぼう|1人分の目安量 ※画像はイメージです
| ごぼう(根・生) | 60g |
| いりごま | 5g |
| こいくちしょうゆ | 6g |
| 米酢 | 5g |
| 上白糖 | 3g |
-
ごぼうはよく洗い、めん棒などで軽く叩いてひびを入れたあと、食べやすい長さに切る。
-
酢水にさらしてアクを抜いたあと、やわらかくなるまで下茹でする。
-
しょうゆ・米酢・上白糖を合わせ、水気を切ったごぼうと和える。
-
いりごまを加えて全体を軽く混ぜ、味をなじませたら器に盛る。
◆ 栄養価(1人分の目安)
作り置きしておけば、記録の欄には「たたきごぼう」の一言で済みます。毎回のメニューを考える手間が減ると、記録そのものを続けやすくなります。食物繊維を増やしたい方は、糖尿病の食事で食物繊維を増やすコツ|1日20gの摂り方も参考にしてください。
おわりに
記録は、完璧に埋めることが目的ではありません。書く項目を3つに絞り、抜けた日はそのままにして、続いている記録だけを見返す。それだけで、次にできることが見えてきます。
質問しそびれたことや、記録の続け方そのものに迷いがあるときは、受診のときに主治医や担当の管理栄養士へ、そのまま持っていって相談してみてください。ぼちぼち、できる形を一緒に探していけたらと思います。
免責事項・参考基準
本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。血糖値の変動や食事記録のとり方は、治療内容・服薬状況によって注意点が異なります。記録の項目や頻度について具体的な指示がある方は、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。
参考にした基準・出典の系統
| 出典系統 | 内容 | 記事内の使用箇所 |
|---|---|---|
| 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」 | 血糖自己管理・セルフモニタリングの考え方 | Q3・Q5の節 |
| 日本食品標準成分表2020年版(八訂)文部科学省 | 食材のエネルギー・栄養素量 | レシピの栄養価グリッド |
※基準は改訂で変わることがあります。最新は各公式ページをご確認ください。

