健康診断の結果から食事を見直す|まず見る3項目

健康・予防ごはん

先月受けた健診結果を広げながら、「この紙、結局どこを見ればいいんですか」と聞かれることがあります。数字の並んだ欄が20行近くあって、Cや要精密検査の印がいくつも付いていると、どこから手をつけていいか決めきれなくなるのは自然なことだと思います。

相談内容|印のついた行が多すぎて、優先順位がつけられない

印の多さで迷わない

結果表を一緒に広げてみると、肝機能や腎機能、貧血の項目までいろいろな印が付いていました。ただ話を聞いていくと、実際に気になっているのはそのうち一部で、去年の面談で「食事を見直しましょう」と言われた覚えがある欄に絞られていきました。

全部の欄を同時に良くしようとすると、変えられるところまで手が回らないことがあります。食事で直接手が届くのは、結果表のうち限られた数項目だけです。まずそこに絞って見ていくことにしました。

一緒に確認したこと|食事とつながりが強い3つの欄

食事とつながる3つの欄

血糖・脂質・血圧の3つに絞ることにしました。日々の食べ方が数字に返ってくるまでの距離が、ほかの項目より近い欄です。

血糖の欄|空腹時血糖とHbA1c、2つの並び

血糖・脂質・血圧の見方

血糖の欄には、たいてい空腹時血糖とHbA1cという2つの数字が並んでいます。空腹時血糖はその日の朝の値、HbA1cは過去1〜2か月の血糖の状態を映した値です。1つだけを見て一喜一憂するより、両方とも基準値の枠の外に出ていないかをセットで確認したほうが、体の傾向がつかみやすくなります。今年だけでなく、去年・一昨年の紙と並べて、上がり続けているか横ばいかも見ておいてください。

脂質の欄|LDL・HDL・中性脂肪の基準

脂質の欄は数字が3つ前後並んでいて、同じ意味だと思われがちですが、実際は見る方向が違います。

脂質異常症の診断基準(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版)

項目 基準
LDLコレステロール 140 mg/dL以上(境界域120〜139)
HDLコレステロール 40 mg/dL未満
中性脂肪 150 mg/dL以上(空腹時)/175 mg/dL以上(随時)

LDLは高いほど、HDLは低いほど注意の対象になります。向きが逆なので、片方だけでなく両方をセットで確認しておくと見立てがずれにくくなります。

血圧の欄|診察室と家庭、目指すライン

血圧は、日本高血圧学会の最新のガイドラインで、診察室で130/80mmHg未満、家庭で測るなら125/75mmHg未満が目指すラインとして示されています。これは治療を受けている方の降圧目標なので、健診結果の判定基準とは場面が異なります。自分の数字がどちらの意味を持つ印なのかは、結果表の説明欄か受診のときに確認してください。

提案したこと|3つの欄に、変える場所を1つずつ

変える場所は1つずつ

数字を全部同時に動かそうとすると、続きにくいことが多いです。欄ごとに、変える場所を1つだけ決めました。

欄ごとに1つだけ決めた変更点

  • 血糖の欄:食べる順番を、野菜やたんぱく質から。ごはんを最後に回す
  • 脂質の欄:揚げ物の1食を、青魚の塩焼きに置き換える
  • 血圧の欄:汁物は1日1杯までにして、しょうゆは計量スプーンで量る

脂質の置き換えは、実際にこの一皿を例に話しました。

さんまの塩焼き

さんまの塩焼き|脂の大半が魚由来、下味の塩だけで仕上げる一皿 ※画像はイメージです

栄養価(さんま100g・塩1gで焼いたもの)

287kcal
エネルギー
18.1g
たんぱく質
25.6g
脂質
1.4g
食塩相当量

※1人分の目安です

脂質は25.6gとまとまった量ですが、その大半は魚由来の不飽和脂肪酸です。食塩は下味の1gだけなので、揚げ物1食をこの1皿に置き換えると、脂質の中身と塩分の両方に同時に効きます。血圧の欄で挙げた計量も、まずはこの下味の塩から慣れると分かりやすいです。食事摂取基準(2025年版)の食塩の目標量は成人男性7.5g未満・女性6.5g未満なので、1食1.4gなら残りの2食で使える量にまだ余裕があります。

やってみたあとの調整

青魚の塩焼きを取り入れる

3つを一度に始めようとすると、最初の週で疲れを感じやすくなることがあります。実際にうまくいったのは、まず血圧の欄だけ、汁物を1杯に決めて2週間続けてもらい、慣れてから魚の置き換えを1回足す、という順番でした。

血糖の欄はいちばん変化が見えにくく、次の健診まで結果が出ないこともあります。短期的に変化が見えなくても、続けることに意味があります。続けられているかどうかのほうを見てください。食べる順番だけは、外食の日でも崩さずにできた、という声もよく聞きます。

おわりに

健診結果は、20行すべてを一度に良くしようとする紙ではありません。今回いちばん気になった1行だけを、次の健診まで持ち越してみてください。分からない印があれば、そのまま次の受診のときに聞いてしまってかまいません。決めるのは一人でなくていいので、迷ったらまた紙を持ってきてください。


免責事項・参考基準

本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。健診結果の判定や治療の必要性は、年齢・持病・他の検査項目との組み合わせを含めて医師が総合的に判断します。ここに挙げた基準値は一般的な目安であり、個別の治療目標とは異なります。食事の変更や受診の判断は、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。

参考にした基準・出典の系統

出典系統 内容 記事内の使用箇所
日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」 脂質異常症の診断基準(LDL-C 140/HDL-C 40/TG 150・175 mg/dL) 「脂質の欄」節
日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」 降圧目標(診察室130/80mmHg未満・家庭125/75mmHg未満) 「血圧の欄」節
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」 食塩相当量の目標量(成人男性7.5g未満・女性6.5g未満) 「提案したこと」節
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」 さんまの塩焼きの栄養価 「提案したこと」節(栄養価グリッド)

※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

タイトルとURLをコピーしました