備蓄食で栄養を保つ|ローリングストックの組み方

健康・予防ごはん

備蓄の棚を開けたら、賞味期限があと2ヶ月に迫った缶詰が並んでいました。防災用にとまとめて買ったきり、一年近く手をつけていませんでした。買った時点で安心してしまい、中身を見返す機会がないまま期限だけが近づいていきます。心当たりのある方も多いと思います。

農林水産省の「災害時に備えた食品ストックガイド」は、この状態を防ぐ方法としてローリングストックを勧めています。普段の食品を少し多めに買い置きし、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分だけ買い足す方法です。特別な非常食を用意するのではなく、日常の買い物の範囲でできるところが要点になっています。備蓄期間の目安はできれば1週間分とされています。

今日は、棚にある備蓄食だけで一日の食事を組んでみることにしました。

朝|そのまま食べる一食に、あと一つだけ足す

朝はあと一つだけ足す

パックご飯にインスタントの味噌汁、梅干しを添えます。これだけで炭水化物とたんぱく質、塩分はひととおり整います。ただ、災害時の食生活で実際に起きやすいのが野菜不足だといいます。ガイドの栄養バランス編では、災害直後は炭水化物に偏りやすく、野菜が不足してビタミン・ミネラル・食物繊維がとれず、便秘や口内炎に悩んだという体験が紹介されています。

朝はここに、野菜ジュースか果物の缶詰を一つ添えるだけでかまいません。冷たいまま出せて、洗い物も増えません。

昼|乾麺の湯を沸かしながら、缶を一つ開ける

昼は缶を一つ開ける

昼は乾麺やカップ麺で済ませる日が増えます。ここで不足しやすいのがたんぱく質です。ガイドでも、魚介の缶詰は長期保存ができるうえに手軽にたんぱく質をとることができ、経済的だと紹介されています。

さばやツナの缶詰を一つ、麺の上にそのまま乗せます。加熱の手間がなく、缶の汁ごと使えばだしの代わりにもなります。

間食|甘いものだけに寄らない一つを選ぶ

間食は甘いものに寄せない

備蓄の中に、甘いお菓子だけをまとめて入れている家庭は多いようです。落ち着かない時期に甘いものがあるのは悪くないのですが、そこだけに寄ると栄養が偏ります。

ドライフルーツやナッツ、そのまま食べられる大豆の水煮缶も、備蓄の間食として置いておけます。ミネラルと食物繊維を、甘さと一緒にとれる組み合わせです。

夕|レトルトの皿に、豆と野菜をひとさじ

豆と野菜のマリネを添える

夕食はレトルトカレーとパックご飯になる日を想定します。ここに、大豆とコーンのマリネをひとさじ添えると、皿の彩りと野菜量が変わります。どちらも缶を開けてあえるだけで、火を使いません。

大豆とコーンのマリネ

大豆とコーンのマリネ|缶詰2つを開けてあえるだけ。レトルトの皿に添える一品 ※画像はイメージです

材料1人分
だいず(水煮缶詰・黄大豆) 50g
スイートコーン(缶詰・ホールカーネル) 50g
小さじ1
オリーブ油 小さじ1弱
少々
  1. 大豆とコーンの缶を開け、ざるにあげて汁気をよくきる。

  2. 酢・オリーブ油・塩を小さな器で混ぜ合わせる。

  3. 大豆とコーンを加えてあえ、少しおいて味をなじませる。

  4. レトルトカレーやスープの上に乗せて、彩りと食感を足す。

缶は開けたらそのまま常温には置かず、使う分だけ取り出して残りは冷蔵庫へ。マリネにしたあとも、冷蔵庫に入れて2〜3日を目安に食べきってください。

栄養価(1人分の目安)

101kcal
エネルギー
7.7g
たんぱく質
5.1g
食物繊維
0.6g
食塩相当量

※1食あたりの目安です

大豆とコーンの缶詰は、どちらもガイドの品目リストに挙げられている食材で、常温のまま長く置いておけます。切らしていても近所の店ですぐ買い足せるところも、備蓄向きの理由です。

一日を並べてみると、野菜だけが足りない

足りないのは野菜だけ

朝から夕まで並べてみると、炭水化物とたんぱく質はそれぞれの場面で自然に満たせていました。足りなかったのは野菜とビタミンで、野菜ジュースや果物の缶詰、豆とコーンのマリネで補った分が、そのまま今日の不足分だったことになります。

次に買い足すときは、同じ缶詰を積み増すのではなく、野菜の缶詰や乾燥わかめ、切干大根、ドライフルーツを一品ずつ増やしてみてください。ガイドの副菜の項目にも、梅干し・漬物、野菜缶詰、のり・ひじき・切干大根、インスタント味噌汁が並んでいます。使った分だけ買い足す1週間分が、そのまま普段の献立にも組み込めるかたちになります。

おわりに

備蓄は、買いそろえた時点では終わらず、時々棚から出して食べてみることで意味を持つのだと思います。今日一日、備蓄だけで過ごしてみて、野菜が足りなくなる場面があれば、次の買い物でそこだけ埋めてみてください。全部を非常食に切り替えなくても、普段の食品を少し多めに置いておくだけで、賞味期限にあわてることは減っていきます。


免責事項・参考基準

本記事は管理栄養士が執筆した一般的な情報提供で、特定の個人への医療行為や栄養指導の代わりではありません。持病があり食事の指示を受けている場合、備蓄食の内容も含めて、必ず主治医および担当管理栄養士の指示を優先してください。

参考にした基準・出典の系統

出典系統 内容 記事内の使用箇所
農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(備蓄のはじめ方) ローリングストックの説明、備蓄期間の目安(1週間分) 冒頭
農林水産省「災害時に備えた食品ストックガイド」(栄養バランス編) 野菜不足で起きやすい不調、たんぱく質確保のための缶詰、備蓄品目の例 朝・昼・一日の振り返り
日本食品標準成分表2020年版(八訂)文部科学省 大豆・コーンの栄養価の根拠系統 栄養価グリッド

※基準は改訂で変わることがあります。最新は公式ページを確認してください。

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